心の病気を予防と改善~メンタルケアでスマイルライフ~

女性

性格と間違われやすい

医者

心の病気を患っている人の中には、全く自覚のない人もいます。その代表的な例に、次のようなものがあります。人前に出ると緊張して耐えられない、大勢の前で話すのが苦痛だ、結婚式の受付など人の目のあるところで文字を書くと、緊張のあまり変な字になってしまう・・・ありふれたことのように聞こえますが、いつもこのような状態になってしまう人は、心の病気のひとつである「社会不安障害」になっている可能性があります。人前であがってしまうというのは単に個人的な性格と思われる場合がほとんどです。しかし実は、他人の前で異常に緊張したり、会議や宴会など多くの人が集まる場面を極力避けようとしたりするのは、脳内の神経伝達物質に問題が生じているためであることがわかってきました。神経伝達物質とは、脳内の神経細胞同士の信号の伝達を助ける働きをしている物質です。セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどが有名です。これらは、平常時にはバランスのとれた状態で存在しているのですが、なにかが原因となってこのバランスが不安定になると、社会不安障害のような心の病気になるのです。先述のとおり、この病気は以前は個人の性格の問題とみなされていたため、治療の対象となっていませんでした。しかし今では心の病気と認定され、効果のある治療薬や治療法が開発されています。上記のような症状で悩んできた人も、精神科などに相談すれば症状の改善が期待できます。

社会不安障害の治療薬で最も有効なのは、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」という薬です。これは略してSSRIとも呼ばれています。セロトニンは睡眠や心の安定感に深く関係している神経伝達物質です。脳の中でこのセロトニンが放出されると、通常はまた元の神経細胞に取り込まれるようになっています。しかし社会不安障害の患者の脳では、セロトニンが不足状態になっています。再取り込みされるとますます不足するので、それを阻止する薬が効果を発揮するのです。薬物療法以外の治療法としては、カウンセリングや認知行動療法などがあります。認知行動療法とは、本人の物事のとらえ方に働きかけ、否定的なものの見方を改善することによって、ストレスとうまくつきあえるようにしていくというものです。たとえば社会不安障害の患者に多いスピーチ恐怖症の場合、あえて大勢の人の前でスピーチする経験を重ね、少しずつ慣らしていくことができます。このようにすることで、患者がそれまで持っていた過剰な劣等感を、段階を経ながら自分に対する自信へと変えていくことが可能になるのです。